ハイドロキノンに発がん性はある?専門家や公的機関の見解まとめ

シミケアとして注目されている美白成分「ハイドロキノン」ですが、発がん性があるという話を聞いたことはありませんか?
実際にハイドロキノン化粧品を使用している人、またこれから使用してみたいと考えているという人は、「発がん性」と聞くと少し気になるところだと思います。
現状では一般的なハイドロキノン化粧品を取扱説明書通りに使用していく上では、発がん性はそれほど心配ないと考えられています。しかしながら、ハイドロキノンには発がん性がないと証明されたわけではなく、絶対安全とはいいきれない状況でもあることもまた事実です。
このような現状ですから、インターネットではいろいろな情報が飛び交い、私たち消費者は紛らわしい情報に振り回されたり、心配を煽られたりすることも少なくありません。
この記事では、ハイドロキノンと発がん性の関係について、公的機関の見解を中心に解説していきたいと思います。
この記事でお伝えすること
ハイドロキノンの発がん性 国際がん研究機関の判断は?
まずはハイドロキノンの発がん性について、公的機関ではどのように判断されているのか確認していきましょう。
世界保健機構(WHO)の外部機関である「国際がん研究機関(IARC)」では、あらゆる化合物や混合物を検証し、発がん性リスクごとに分類しています。
この分類によると、ハイドロキノンは「グループ3(ヒトに対する発がん性が分類できない)」に分類されています。
IARC発がん性リスク分類
- グループ1 (ヒトに対する発がん性が認められる)
- グループ2A (ヒトに対する発がん性がおそらくある)
- グループ2B (ヒトに対する発がん性が疑われる)
- グループ3 (ヒトに対する発がん性が分類できない)
- グループ4 (ヒトに対する発がん性が恐らくない)
※グループ1が最も発がん性リスクが高く、グループ4に近づくほど発がん性リスクが低くなります
ハイドロキノンが分類されているグループ3は、発がん性において2番目に安全なグループになります。
2番目に安全といってもピンとこないと思いますが、私たちの身近なものでは、お茶やコーヒーが同じグループ3に分類されます。お茶やコーヒーを飲むときに、「発がん性」の心配をしながら飲んでいる人はおそらくいませんよね。ハイドロキノンもこれと同じ認識ということになります。
国際がん研究機関(IARC)の「ハイドロキノンの発がん性」における判断を整理してみましょう。
- お茶やコーヒーと同じくらいの発がん性リスクと考えられている
- 現段階では、人間に対する発がん性は判断することができない
このように発がん性に関しては、ハイドロキノンが比較的安全な成分と判断されていることがお分かりいただけると思います。ただし、発がん性がないと解明されたわけではありません。今後の研究結果次第では分類が変更になる可能性もあることを覚えておいてください。
ハイドロキノンの発がん性が心配されているのはなぜ
ハイドロキノンの発がん性が心配されているのは、アメリカ食品医薬品局(FDA)におけるラット実験が影響しています。この実験では、ラットに高濃度のハイドロキノンを内服させたところ、発がん性が認められたという研究結果が報告されました。
このような実験結果があるにもかかわらず、国際がん研究機関で「ヒトに対する発がん性が分類できない」と判断されているのは、下記の2点が大きく影響していると考えられます。
- ラット実験であり、ヒト実験ではないこと
- 高濃度のハイドロキノンを服用(口から摂取)させていること
通常、がんに関する実験はヒト実験は行わず、ラットなどの実験動物を基に研究を進めていきます。この実験結果はあくまでラット実験によるもので、人体で同じような症状を発症するかまでは解明されていません。
もうひとつのポイントは、ハイドロキノンをラットに服用させていることでしょう。ハイドロキノンには内服薬がありませんので、人間が口からハイドロキノンを摂取することは基本的にありません。
一般的に使用されるのは低濃度のハイドロキノンクリームで、肌に直接塗るものです。この実験では、皮膚にハイドロキノンを塗ることで発がん性が確認されたものではないということです。
ハイドロキノンを飲み込んでしまったときの発がん性
もともとは肌に塗布するハイドロキノン化粧品。でも誤って飲み込んでしまったらどうなる?
口に入れてはいけないと分かっているけど、万一口に入ってしまったら心配ですよね。これについては環境省のホームページに参考になりそうな情報がありましたので紹介します。
非発がん影響については一般毒性及び生殖・発生毒性等に関する知見が得られているが、発がん性については十分な知見が得られず、ヒトに対する発がん性の有無については判断できない。
このため、閾値の存在を前提とする有害性について、非発がん影響に関する知見に基づき無毒性量等を設定することとする。経口ばく露については、中・長期毒性エ)のラットの試験から得られたNOAEL 15 mg/kg/day(体重増加の抑制、振戦)を試験期間が短かったことから10 で除した1.5 mg/kg/day が信頼性のある最も低用量の知見であると判断し、これを無毒性量等として設定する。吸入ばく露については、無毒性量等の設定はできなかった。
難しい言葉で説明されていますが、この資料でも十分な研究結果がないため「ハイドロキノンと発がん性の有無については判断できない」とされています。
本題のハイドロキノンを口から摂取した場合ですが、ラット試験データをもとに、概ね発がん性の心配ない摂取量を下記の数値程度であろうと推測しています。
「体重1kg当たり1.5mg/日」
これは、体重が50kgの人なら毎日75mgのハイドロキノンを口から摂取しても、発がん性の心配はないであろうという数値になります。かなりの量になりますが、発がん性だけに限れば、このくらいの量はおそらく問題ないと推測されているということです。
ハイドロキノンを正しく使うために
美白成分ハイドロキノンの発がん性について、現状はそれほど心配しなくてもいいこと、その根拠として公的な機関の評価を中心に紹介しました。
ハイドロキノンの発がんリスクは極めて低いというのが公的機関の見解で、市販されているハイドロキノン化粧品を使用する程度であれば特に問題ないと考えられています。注意事項をよくお読みの上、正しくお使いいただければ過剰に心配する必要はないでしょう。
ハイドロキノン化粧品は、人によって赤み、かゆみなどの副作用が出る場合があります。このサイトではハイドロキノンの副作用や使用方法についても紹介しています。これから使用を検討している人は合わせてお読みください。